Q1 現在のお仕事について教えてください。
入社当初より、キーコーヒー関東工場(千葉県船橋市)製造課に所属しています。現在は世界中から輸入されたコーヒーの生豆を焙煎する業務を担当しています。簡単に言うとコーヒーの味をつくっている工程です。関東工場は、全国に4カ所ある工場のなかで最も生産量が多い主力工場で、月間でおよそ1,000トンを製造しています。コーヒーの杯数に換算すると、月間でおよそ1億杯(10g/杯換算)となります。
焙煎の目的は、ただ単に生豆を煎ることではなく、それぞれの生豆が持つ特性を最大限に引き出すように煎り上げることです。コーヒーの味は、生豆の品質はもちろんですが、焙煎手法や焙煎の度合い(焙煎温度・焙煎時間など生豆への熱の伝わり方)によっても変わります。そのため、タイプの異なる焙煎機を使い分けて、理想の味わいを再現しています。
Q2 大学院時代の研究テーマについて教えてください。
インドネシア・中部ジャワに位置する都市ジョグジャカルタで生活するベチャ夫と、そこに暮らす人々の「声」を通じて、ベチャがどのような文脈で、どのように評価されているのかを検証し、街が発展する中でその時代に適応していこうとするベチャの社会的存在意義、そしてジョグジャカルタのベチャ像にかんする今日的側面の一部を描くことが研究テーマでした。
ちなみに、ベチャ(becak)とはインドネシアの自転車タクシーの呼称です。大人1人、ないしは2人が乗ることができる客席が前にあり、後ろから運転手がこぐ形がインドネシアでは一般的です。インドネシア国内において、ベチャはかつて「卑しい職業」「非人道的な職業」というレッテルが貼られ、その一方で「庶民の足」「道路の王様」としても親しまれてきた乗り物でした。近年ジョグジャカルタでは、そのベチャを対象とした新たな規制が生まれ、同時にベチャを保護しようとする動きも見られるようになりました。この流れはこれまで規制対象外であったジョグジャカルタのベチャの環境が変化しつつあることを意味しており、また従来描かれきたインドネシア国内におけるベチャのイメージ像との乖離が見られました。そこには「卑しい職業」としてではなく、また「庶民の足」としてでもない、新たな役割が付与されていると考え、上述のテーマを研究テーマとしました。
Q3 大学院で得られたこと、いまの仕事に活かされていることなどあれば教えてください。
キーコーヒーはインドネシア・スラウェシ島北トラジャ県に直営のコーヒー農園、『パダマラン農園』を持っており、コーヒーの栽培を行っています。現在も数名の社員が現地駐在しています。学部・院とインドネシア研究を行ってきたこともあり、ゆくゆくはパダマラン農園での業務に携わることも考えられます。また、現地駐在となれば言語はもちろん、文化・慣習の異なる地での業務となり、特に仕事に対する考え方や姿勢は日本とインドネシアとでは異なるため、思考の柔軟さが求められます。その点は地域研究を通じて十分養われてきたと思います。