menu close
MENU

修了後の進路

岡田 紅理子(オカダ クリコ)さん
ノートルダム清心女子大学 キリスト教文化研究所 教員

2010年3月 博士前期課程修了

2019年3月 博士号(地域研究)取得

Q1 現在のお仕事について教えてください。

 岡山市にあるノートルダム清心女子大学で教員をしています。キリスト教文化研究所に所属しているので、ゼミはありませんが、キリスト教の歴史や聖書の基礎を学ぶ「キリスト教学」という科目を中心に、自分の研究テーマに通ずる宗教実践や文化人類学の関連科目も担当しています。

Q2 大学院時代の研究テーマについて教えてください。

 台湾においてキリスト教人口は10%にも満たないのですが、全人口の約2%を占める先住民族の8割間では日本植民地時代後からキリスト教が信仰されています。それがなぜなのか、ということについて、アミというエスニック・グループについて、カトリック教会を事例として分析しました。
 修士論文では、特に先住民族の約半数が移住している都市部において、アミがカトリック信仰をなぜ今も世代を超えて継承しているのか、かれらの都市生活と信徒共同体での活動に着目して検討しました。 博士論文では時代を遡って、多神崇拝と精霊祭祀をしていたアミが、いかにして一神崇拝を行うキリスト教を理解し得、入信を選択したのかについて、かれらの日本植民地経験から分析しました。
 地域研究専攻ではフィールドワークがとても大切にされ、私も博士前期課程では1〜2ヶ月単位の短期調査を4回ほど実施しました。
 博士前期課程修了後に一旦は民間企業に就職しましたが、その後、博士後期課程に戻りました。博士後期課程在学中に実施した2年間の長期調査では、想定外のトラブルに見舞われましたが、たくさんの人に助けられて、博士論文を完成することができました。

Q3 大学院で得られたこと、いまの仕事に活かされていることなどあれば教えてください。

 「地域研究」という名がついていますが、そこには、自分の調査地が属する地域区分の専門的知識を広く深く身につけるにとどまらず、他の分野・地域を横断しながら、自分の調査地とそこで生きてきた人々、また自分自身が身を置いている生活世界について包括的かつ内在的に理解していく、という意味が込められていると思います。
 先生たちからは、研究教育活動における作法や技法はもちろんですが、(抽象的な言い方ですが)調査者である研究者と調査対象者、あるいは教員と学生といった関係を超えて、他者と信頼関係を築き、他者に寄り添い、公平かつ対等に向き合っていくための、人としてのあり方を学びました。いまだに試行錯誤なので「生かされている」とまでは言えませんが、そういう姿勢を同僚である教職員や学生と関わるときに意識しています。
 地域研究専攻では、先生たち、同期、先輩・後輩と、分野、地域、ゼミを超えて関わるなかで、思いもよらない気づきと視点が加わり、たくさんの点が生まれ、点と点が結びついて線ができ、面が広がっていきます。
 私は、学部ではキリスト教のいわゆる「土着化」を神学的に学び、留学した台湾の先住民族の日常的実践から「土着化」を検討しようと大学院に進学しました。進学当時、地域研究専攻にはまだ「東アジア」を地域とする先生がいらっしゃらなかったのですが、博士後期課程までずっと台湾をフィールドとして研究を続けることができました。それが可能だったのは、上智の地域研究専攻だったから、ということに尽きると思います。自分の研究テーマを自由に探究でき、それに応えてくださる多彩な先生たちがいらっしゃる研究環境にいたからこそ、頭の柔らかさとフットワークの軽さが培われました。今でも研究を継続できるのは、そのおかげです。