Q1 現在のお仕事について教えてください。
博士前期課程を修了して4年目になりますが、既に2つの仕事を経験しています。まず、修了直後に外務省に入省し、政府開発援助(ODA)の技術協力事業の管理・調整に2年間従事しました。事業を制度面から支える仕事で、具体的には、海外ボランティア事業の見直しや定期的な行事に日本の援助実施機関である国際協力機構(JICA)と取り組んだり、技術協力を実施するための手続きの管理を行ったりしていました。また、入省当時は、現在一つの援助手法になりつつある、ODAを活用して中小企業等の海外展開を支援しようという動きが始まった頃で、企業の行うプロジェクトの監理をするとともに、試行錯誤を繰り返しながら新しいスキームを創り上げていくという貴重な経験を積むこともできました。
現在は、国際協力分野で活動するNPOに転職し、東京の事務局でプロジェクト管理から総務や広報まで、多岐に亘る仕事に携わっています。今の職場は比較的小規模で、国内の常勤職員は2人しかおらず、起こる全てのことに対して主体的にならざるを得ず、最近では経営についても考えていかなければと思うようになりました。具体的な仕事は、海外プロジェクトの進捗管理や外務省などのドナーとの調整、イベントの企画・実施、ニュースレター作成やホームページの更新、会員の管理、外部からの照会への対応など、説明しきれない程多くの仕事があります。
Q2 大学院時代の研究テーマについて教えてください。
大学院では、ブラジルにおける公教育の民主化について研究しました。公教育の民主化とは、市民の参加を通じて地域の特徴に適した教育を実現し、ひいては市民権の構築へと繋げようとするもので、1988年の民政移管を契機にブラジルで政策として進められてきました。ポルトガル語学科で学んでいた頃にゼミでこの政策に関心を持ち、参加型の学校運営における学校とコミュニティの関係性を考察することを通じて、政策の目的が実現し得るのかを研究するために地域研究専攻に進学しました。
Q3 大学院で得られたこと、いまの仕事に活かされていることなどあれば教えてください。
大学院では、論文を執筆する作業や、多くの研究者と接する機会を通して、学術的な知見に加えて論理的に考える力や、説明する力が得られたと思います。特に、在学中に現地調査を3回、ブラジルで行われた国際会議での発表も経験したことで、海外で仕事をする際にも役立つ形でこうした能力を高めることができたと思います。
今の仕事でも、大学院での経験が大いに活かされています。プロジェクトを立案する作業は大学院での研究と通じており、細かな調査や分かり易い説明を追求する過程は、何度も経験したフィールドワークや論文の執筆、研究内容の発表とほぼ同じといえます。また、今の仕事は、プロジェクトの受益者や関係機関など、様々な背景を持つ人々と関わるため、客観的且つ慎重に物事を捉え考えることが求められた大学院での経験が役立っています。