プロフィール
専門はフランス革命史とそれ以降のフランス近現代史です。フランスにおいて、理念、システムの点で国民国家が誕生したのが1789年のフランス革命でした。経済構造の変化と新たな中間層の台頭、ヨーロッパ主権国家間の国際競争激化、啓蒙主義の展開と世論の誕生などが、大きくは革命、すなわち国民国家誕生の背景として明らかにされてきた中、私は、18世紀末を生きた現実の人々、とりわけパリから離れた地方の人々が、いかなる意味で「国民国家」の出現を必要としていたのかを長く研究テーマとしてきました。
ただ、理念としての国民国家は誕生したものの、「実体」としての国民、すなわち自らを「フランス人」と自認する意識が広がるのは19世紀後半から20世紀前半の時期です。そしてこの同じ時期、フランスは海外に植民地を拡張していきます。フランス人としてのナショナル・アイデンティティは、フランス、ヨーロッパにとってのきわめて多様な「他者」との出会いを通じて徐々に構築されていきます。現在は、主にマダガスカルへのフランス人のアプローチを丁寧に追いながら、この地を眺めるフランス人の視線、そこに生じる自己認識とその変遷を史料から明らかにしようと悪戦苦闘しています。
フランスとフランス語圏地域を対象として、ナショナルな枠組みの構築と、そこに必然的に作用する他者認識の有り様を明らかにすること。これが私の問題関心ですが、広くナショナリズムやコロニアリズムに関わる問題を、フランスやフランス語圏を対象に研究したいと考える大学院生と会えることを楽しみにしています。